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基礎知識

よくわかる自動車保険!自賠責保険と任意保険の違いや補償内容を解説

ドライバーなら必ず知っておきたい「自動車保険」

しかし初めての自動車保険は難しいといった印象を抱く人が多いのではないでしょうか。

「自動車保険ってそもそも強制加入なの?」
「若い人は保険料が高いって聞いたけど……」
「見積もり取ってみたけど補償内容がさっぱり分からない!」

さまざまな声が聞こえてきそうです。

補償内容や商品の種類、保険料の仕組みなど、自動車保険を100%理解しようとするのはなかなか難しいかもしれません。さらに差別化を図ろうと、保険会社ごとに独自の補償やサービスなどが用意されていることもあり、保険の内容はますます複雑化しているように思います。

そこで今回は“初めてでもよく分かる自動車保険”をテーマに、最低限知っておきたい「自賠責保険と任意保険の違い」「補償内容」「保険金額の目安」「保険料の仕組み」「加入方法」までを詳しく解説します。

自動車保険の目的とは

なぜ自動車保険に入る必要があるのでしょうか。まずは自動車保険の目的について考えてみましょう。

車を運転する以上、交通事故に遭うリスクは少なからず生じます。自分が事故の加害者となるケースもあれば、被害者となるリスクも想定されるでしょう。どんなに安全運転を心がけていても、完全に事故のリスクを回避するのは難しいものです。

そして万が一事故が起きてしまったとき、相手方への損害賠償や自分が負傷した場合の治療費など、さまざまなシーンにおいて金銭的な負担がのしかかることになります

そうした金銭面の負担を軽減してくれるのが、自動車保険の役割です。

では実際に事故が起きたとき、どういったことにお金がかかるのでしょうか。具体的に3つのケースが挙げられます。

1.事故の相手に支払う賠償金

自分が事故の加害者となった場合、相手方に支払うのが「損害賠償金」です。損害賠償には主に2種類があります。

  • 人に対する損害賠償(ケガの治療費、休業補償、慰謝料など)
  • モノに対する損害賠償(車、家屋、ガードレールなど)

例え相手の不注意が引き起こした事故であっても、過失がこちらにもあると認められてしまえば、相手方に損害賠償金を支払う必要性が生じます。そうした事故が多くあるのも現状です。

2.自分や同乗者が負傷した場合の補償

交通事故により、自分自身や同乗していた家族が負傷した場合は入院・通院などの治療費がかかります。万が一死亡に至った場合は残された家族の生活費や、自分の葬儀費用なども必要になってくるでしょう。

また同乗者が友人など他人であった場合は、負傷の度合いによっては休業補償や逸失利益などを支払わなければならない可能性もあります。

3.自分の車が損傷した場合の修理代や車の買い替え費用

車を運転しているときに事故が起きたということは、少なからず自分の車もダメージを受けているはずです。損傷の度合いにより、修理になれば修理費用がかかり、買い替えが必要となれば新しい車の購入費用が必要になります。

こうした“万が一”に備えるために加入するのが、自動車保険の目的です。

自動車保険には2種類ある

自動車保険には、強制加入の「自賠責保険」と任意加入の「任意保険」の2種類があり、それぞれ補償の目的や内容が異なります。詳しく見ていきましょう。

1.自賠責保険(強制加入)

自賠責保険はいわゆる強制加入の保険です。交通事故による被害者を救済する目的の保険で、法律によって加入が義務付けられています。自動車購入時(※厳密には自動車検査時)、必ず加入しなければならない保険なので、車を持っている人は全員加入しているはずです。

基本的に、2年に一度(新車の場合、初回のみ3年に一度)の車検のタイミングで更新し、決められた自賠責保険料を支払います。

自賠責保険の補償内容は以下の通りです。

死亡の場合 最大3,000万円
ケガの場合 最大120万円
後遺障害の場合、程度に応じて 75万円~最大4,000万円

自賠責保険は人身傷害のみ補償の対象となっており、相手の車などの物損は補償の対象外です。また任意保険に比べて支払い基準が厳しいことでも知られています。

例えば後遺障害で限度額の4,000万円の支払いが認められるのは、常時介護を要する「後遺障害等級1級」と認定されたときに限られています。

2.任意保険(任意加入)

加入義務のある自賠責保険とは違い、加入は「任意」のため、加入の判断はドライバーに委ねられています。任意保険には加入しなくても罰則はありません。

しかし前述の通り、自賠責保険からは相手方への人身傷害しか補償が受けられず、限度額も死亡の場合で3,000万円までといった非常に範囲の狭い補償内容になっています。そのため、自賠責保険では足りない補償を任意保険でカバーするのが、理想の自動車保険のカタチであるといえるでしょう。

任意保険は、契約の形態が「対面」なのか「インターネット」で完結するのかによって、大きく2種類の商品に分類されています。

代理店型自動車保険

いわゆる対面販売の「代理店型自動車保険」は、代理店を通して契約する保険商品です。

代理店の担当者が対面で加入手続きを進めてくれるので、保険について詳しくない人でも疑問を解消しながら契約まで進めやすいのがメリットだといえるでしょう。

代表的な保険会社

  • 東京海上日動火災保険
  • 損保ジャパン
  • 三井住友海上火災保険
  • あいおいニッセイ同和損害保険 など

ネット型自動車保険

「ダイレクト型」「通販型」とも称される「ネット型自動車保険」は、インターネット上から保険の加入手続きができる保険商品です。

代理店を通さず契約できるため、代理店の販売手数料がかからない分、保険料を抑えられる可能性があります。

代表的な保険会社

  • ソニー損保
  • 三井ダイレクト損保
  • SBI損保
  • アクサ損害保険 など

任意保険の具体的な補償内容

自賠責保険はあらかじめ補償内容が決められていますが、任意保険は数ある補償の中から必要な補償を組み合わせて、自分に合った保険をカスタマイズすることができます。

主に「相手方への補償」「自分や同乗者に対する補償」「自分の車に対する補償」の3つに分けられています。

主な補償内容 名称 概要
相手方への補償 対人賠償責任保険 相手が死傷したときの損害賠償金が補償される保険
対物賠償責任保険 相手の車や家屋、電柱やガードレールなどが損傷したときの損害賠償金が補償される保険
自分や同乗者に対する補償 人身傷害保険 契約中の車に乗っている人(自分を含む)が死傷したとき、治療費や逸失利益などの補償が受けられる保険
搭乗者傷害特約 契約中の車に乗っている人(自分を含む)が死傷したとき、あらかじめ定められた金額が受け取れる保険
自損事故保険(特約) 相手のいない事故(単独事故)で同乗者(自分を含む)が死傷したとき、補償が受けられる保険
無保険車傷害保険(特約) 事故の相手が任意保険に未加入であった場合や補償が十分でなかった場合に、補償が受けられる保険
自分の車に対する補償 車両保険 契約中の車が事故により損傷したとき、修理費や買い替え費用が補償される保険

保険会社によって名称が変わったり、補償内容が若干異なることがありますが、基本的には上記の内容で成り立っています。

またその他にもさまざまな特約を付帯することで、さらに補償を充実させることが可能です。特約の内容もまた、保険会社ごとに異なる場合があります。

【主な特約】

  • 弁護士費用特約
  • ファミリーバイク特約
  • 個人賠償責任補償特約 など

保険金額を設定する際の目安が知りたい!

いざ見積もりに進んでみると「設定する保険金額によって保険料が違うけど、一番安いプランを選んでもいいのかな……?」と不安に思う人も多いのではないでしょうか。

主に「対人・対物賠償」「人身傷害」「搭乗者傷害」「車両保険」の部分で保険金額を設定できるケースがあります。基本条件として、保険金額を高く設定すればその分保険料は高額になり、反対に保険金額を低く設定するとその分保険料を抑えることができます。

しかし保険料を安くしたいあまり保険金額を低くしすぎると、いざというときに十分な補償が受けられず保険に加入していた意味すら為さなくなる、といった事態にも陥りかねません。

適切な補償を用意するべく、ここでは補償別に最低限備えておきたい保険金額を一覧表にまとめました。

主な補償内容 名称 保険金額の目安
相手方への補償 対人賠償責任保険 無制限
対物賠償責任保険 無制限
自分や同乗者に対する補償 人身傷害保険 3,000万円
搭乗者傷害特約 なし~1,000万円
自損事故保険(特約) - ※自動付帯のケースが多い
無保険車傷害保険(特約) - ※自動付帯のケースが多い
自分のクルマに対する補償 車両保険 - ※時価により決定される

基本的に相手方への補償は、対人・対物ともに「無制限」で設定することをおすすめします。ここを低くすると、損害賠償金が保険で賄いきれない可能性もあり、相手方とのトラブルに発展しかねないからです。

少しでも保険料を抑えたいときは「自分や同乗者に対する補償」での調整を検討しましょう。

車両保険の保険金額は時価の範囲内でしか決められないため、保険料の兼ね合いで悩むとすれば「車両保険を付けるか否か」になると思います。例えば中古車に乗っている場合は、事故により車が損傷しても車両保険で買い替え費用が賄えない可能性が高いため、車両保険は付けないといった選択肢が考えられます。

自動車保険の保険料はどう決まる?

いざ見積もりを出してみると、同じような内容でも保険会社によって保険料の差が大きく、驚く人もいるかもしれません。自動車保険の保険料は、果たしてどのような条件をもとに決められているのでしょうか。

自動車保険の保険料は「純保険料率」「付加保険料率」の2種類の料率をもとに算出されます。

その中でも純保険料率は、「損害保険料率算出機構」が算出する数値を参考に、各保険会社が独自に設定しています。

保険料を左右する条件には、以下のような項目が挙げられます。

【契約者の条件】

  • 年齢
  • 免許証の色
  • 事故の有無
  • ノンフリート等級
  • 運転者の範囲

【車の条件】

  • 車種
  • 型式
  • 年式

【その他】

  • 走行距離
  • 使用目的
  • 使用地域

「付加保険料率」については、保険会社が事業を行っていく上で必要な経費などを各保険会社が独自に算出し、保険料に上乗せされるといった仕組みです。

結局どの補償を選べば良いか分からないときは……?

特に初めての契約で、内容を理解しないままあれこれ特約を付けるなどして気付いたら保険料がかなり高額になってしまった、なんて経験はありませんか?

迷ったときは、最低限必要となる相手方への補償2つ(対人賠償と対物賠償)と、自分や同乗者に対する補償(人身傷害)さえ押さえておけばOKです。

車両保険は、契約する車が新車の場合や、免許取り立てで運転に自信がない場合など、心配な人は付けた方が安心かもしれません。

車両保険を付けて保険料が割高になるのを少しでも避けたいときは「免責」を設定するのがおすすめです。修理費用を保険で賄うことになったとき、あらかじめ設定した免責金額のみ自腹で負担する必要がありますが、その分保険料が抑えられます。

よくある免責金額は「5万円」または「10万円」です。

“いざというときこの金額を支払えるかどうか?”、貯金額と相談して決めましょう。

自動車保険の加入方法

自動車保険の加入方法は、主に3パターンが挙げられます。

  1. 保険代理店で契約
  2. インターネットで契約
  3. ディーラーで契約
    ※厳密にはディーラーも保険代理店に当てはまります。

保険代理店またはディーラーでの契約とインターネット上での契約、2つの違いは「保険料」です。

代理店を通して保険契約をした場合、販売手数料が保険料に上乗せされるため、その分保険料が割高になるケースがあります。

事故時の対応や補償内容に大きな違いはないため、「保険料を少しでも安く済ませたい」「面倒な手続きの負担を軽減したい」といったご自身の要望に応じて決めると良いでしょう。

自動車保険に加入するタイミングは?

初めて自動車保険に加入する人の中には、保険に加入するタイミングが分からない人もいるのではないでしょうか。基本的には、納車日が決定した段階で早めに自動車保険の加入を検討し始めるのが良いでしょう。

「納車前に加入したら無駄な保険料が発生するのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、そのような心配はいりません。

自動車保険は保険会社によって、最大90日後まで保険始期日(補償が開始される日)を設定することができます。肝心の保険料は保険の始期日から支払うことになるため、保険料が無駄になることはありません。

自動車保険 Q&A

ここからは、自動車保険の加入を考える人が抱きやすい、よくある疑問をQ&A形式で解説していきます。

Q.任意保険は保険料が高いし、自賠責保険にも入っているから加入しなくても大丈夫?

特に年齢が若いうちは運転歴が浅いことも相まって保険料が高額になりがちです。加入しよう!と意気込んで見積もりをもらったのに、あまりの金額に驚いて任意保険に入る気を失くした……。なんて人もいるかもしれません。

しかし、だからといって「任意保険に加入しない」といった選択肢は避けたいところ。

補償内容を最低限に抑えたり、年払いから月払いにしたりと、無理なく保険料を支払えるように工夫しつつ保険に加入することが大切です。

Q.2台以上車を持っている場合でも、1契約あれば良い?

自動車保険は、車1台につき1契約が原則です。

2台以上車を所有している場合、保険料が割引になるケースもあるので活用すると良いでしょう。

また勘違いしやすいのが「自動車保険に入っているから友達の車を借りて運転しても大丈夫?」というケース。この場合、答えはNOになります。

契約は車ごとになるため、契約した車以外で事故を起こした場合は原則として補償の対象外になります。また車を乗り換える際にも、保険会社への連絡が必要になります。

Q.月払いと年払い、どちらの方がお得?

結論から言えば、月払いよりも年払いの方が保険料がお得になります。

しかし、年払いだと一括で支払わなければならないため、保険料が10万円前後の高額となった場合、無理せず月払いを選択するのもひとつの手段です。

Q.車を買い替えたり、保険会社を変えたりしたら、等級はどうなる?

等級が上がれば保険料は下がっていくので、車の買い替えや保険会社を乗り換えるたびに等級が1からになってしまったら悲しいですよね。

車を買い替えても保険会社を乗り換えても、きちんと手続きをすれば等級は引き継がれるので安心してください。また一度車を手放しても「中断証明書」を発行しておけば、再び車を購入した際に以前の等級を引き継げるといった制度もあります。

Q.保険料はネット型保険の方が絶対に安くなる?

代理店型は対面での販売手数料がかかる分、ネット型よりも保険料が割高になるケースが多く見られます。しかし、絶対にネット型自動車保険の保険料が安いかと言われたら、そうとも限りません。

また保険料を月払いにしたい場合、ネット型はクレジットカードの分割払いでしか対応できないこともあるため注意が必要です。

保険料を少しでも抑えたいと考えている人は、複数社に見積もりを依頼して検討することをおすすめします。

まとめ:車を持ったら自動車保険に加入しよう!

自動車保険には、強制加入の「自賠責保険」と任意加入の「任意自動車保険」の2種類があります。

自賠責保険だけではいざというときの補償が不足する可能性が高いため、万が一に備えるべく任意保険への加入も必須と言って過言ではないでしょう。

ひとくちに“自動車保険に加入する”といっても、補償内容はどんな形にするか、保険会社はどこを選ぶかなど決めることが盛りだくさんなので、契約を億劫に感じる人も多いかもしれません。

ひとまず補償に関しては最低限「相手方への補償は無制限に」「人身傷害補償を付ける」「新車の場合は車両保険を付ける」の3点さえ意識しておけば、難しいことは考えなくても大丈夫です。

まずは見積もりを取り、比較してみることから始めてみましょう。

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この記事を書いた人

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夏川さほ(2級FP技能士)

4児の母。国内大手の生命保険会社に2年の勤務経験があり、個人や企業向けに生命保険と損害保険を販売しておりました。保険商品は内容を正しく理解するのが難しいので、わかりやすい解説を心がけています。公的保障を考慮した“本当に必要な保険”を提供したいと考え、2022年6月、FP2級を取得しました。

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