featuredImage

基礎知識

ソニー損保「おりても特約」の補償内容は?必要性や注意点を解説

 さまざまな自動車保険がある中、特約で差別化を図る保険会社も多く存在します。

ソニー損保の「おりても特約」もその一つ。

“車からおりたあと”の事故を幅広く補償するとあって、注目度の高い特約です。

今回はソニー損保の「おりても特約」について、

  • どのような場面で補償が使えるのか?
  • どのような人にとって役に立つ補償なのか?
  • 特約を付けるときの注意点は何か?

といった観点から補償内容を詳しく解説します。

おりても特約とは

おりても特約はソニー損保が独自に提供している自動車保険の特約です。

2023年1月現在、ソニー損保以外にまったく同じ内容の特約を提供している保険会社は存在しません。

おりても特約は、車で出かけて家に帰宅するまでの間で、車から降りたときに生じた損害を補償してくれるのが特徴です。

おりても特約の補償イメージ

 

おりても特約は「傷害特約」「身の回り品特約」の2種類の補償に分かれており、1契約でそれぞれの補償を受けることができます。

おりても傷害特約

おりても傷害特約では、車を降りている間の事故によるケガについて補償が受けられます。

補償範囲は「本人型」「夫婦型」「家族型」の3タイプから選択可能です。

補償範囲 補償の対象者
本人型 被保険者本人のみ補償
夫婦型 被保険者とその配偶者のみ補償
家族型 被保険者と同居中の家族全員および別居の未婚の子を補償

 

おりても身の回り品特約

おりても身の回り品特約では、車を降りている間、車から持ち出した荷物が損傷した場合に損害額が補償されます。

おりても身の回り品特約の補償範囲は、傷害特約で定めた範囲にかかわらず、被保険者の家族全員が対象になります。

おりても特約の補償内容

おりても特約では具体的にどのような補償が受けられるのでしょうか。

ここでは、おりても特約の「保険金額」と「補償の対象となるケース・ならないケース」について詳しく見ていきましょう。

おりても特約の保険金額

万が一事故が起きた際、どれだけの金額が補償されるのか?まずは保険金額について解説します。

おりても傷害特約とおりても身の回り品特約で保険金額が異なるので、それぞれ見ていきましょう。

■おりても傷害特約

おりても特約を5口で契約した場合、保険金額は以下の通りです。

死亡 1名ごとに500万円
後遺障害 後遺障害の程度に応じて、1名ごとに 20~500万円
入院した場合 1名ごとに5,000円/日額
手術した場合 手術の種類に応じて、1名ごとに5~20万円
通院 1名ごとに1,500円/日額

※最大90日まで

※事故日当日を含めて180日以内に限り補償。

参考:ソニー損保|おりても特約

新規契約は5口から、継続時に1口ずつ契約できる仕組みになっています。

 

■おりても身の回り品特約

おりても身の回り品特約の保険金額の上限は、保険期間を通じて10万円までです。

ソニー損保の自動車保険の保険期間は1年間なので、契約(または更新)から1年を通して10万円までであれば何回でも補償が受けられます。

補償の対象となるケース

続いて、補償の対象となる事故のケースを見てみましょう。

いずれも、自動車保険の契約車両または被保険者の家族が所有する車で出かけることが大前提です。

■おりても傷害特約

おりても傷害特約は車に乗って外出し、途中で車を降りた際に、なんらかの事故で負ったケガや死亡・後遺障害といった“身体の損傷”に関する補償が受けられる特約です。

相手ではなく、自分に対する補償にあたります。

また他人の過失ではなく、自分の不注意によるケガに関して補償が受けられるのが特徴です。

例:登山中、転んでケガをした、スキー中に転倒してケガをした など

■おりても身の回り品特約

おりても身の回り品特約では、車で外出した先で手荷物を壊したり、盗難被害に遭ったりといった場合に補償が受けられます。

おりても傷害特約同様、誰かに壊された場合ではなく「誤って落とした」など、偶然な事故によって生じた損害が補償されます。

例:誤ってカメラを落として壊した、車のキャリアに固定していたサーフボードを盗まれた など

※車のキャリアに固定された荷物の損傷に関しては、盗難のみが対象となるためご注意ください。

補償の対象外となるケース

おりても特約の対象外のケースについても必ず確認しておきましょう。

まず、おりても傷害特約とおりても身の回り品特約の両方において共通するケースは以下の通りです。

  • 車の運転中・乗車中
  • 通勤中や業務中

車を運転している最中に発生した事故による損害は、通常通り自動車保険から補償されるため、おりても特約の補償対象にはなりません。

また通勤や業務で車を使用している間は、例えそれが社用車ではなく自分の車であっても、おりても特約の補償対象外となるため注意してください。

その他、

  • 被保険者の故意または重大な過失により発生した損害
  • 被保険者の自殺行為・闘争行為・犯罪行為によって生じた損害
  • 被保険者が無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 戦争、外国の武力行使、暴動、核燃料物質などに起因する損害

など、一般的に補償対象外とされる事項も含まれます。

■おりても傷害特約

おりても傷害特約の補償対象外となる事故は、以下の通りです。

  • レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

つまり、危険な競技中(練習を含む)に負ったケガに関しては補償が受けられません。

また一般的な登山は補償範囲に含まれますが、ロッククライミングのような危険を伴うアクティビティは補償の対象外になっています。

日頃行うレジャーが補償範囲に含まれるかどうか?気になる人は、契約前に問い合わせることをおすすめします。

■おりても身の回り品特約

被害に遭っても補償が受けられないモノの代表例は以下の通りです。

  • 通貨、小切手、株券、有価証券、クレジットカード など(現金含む)
  • 貴金属、書画、骨董 
  • 設計図、証書、模型
  • 船舶、航空機、自動車、雪上オートバイ
  • 山岳登坂、ボブスレー、スカイダイビング等、危険なスポーツに使用する用具
  • 携帯電話
  • 眼鏡、コンタクトレンズ、義肢、義歯
  • 動物、植物 など

一般的な「車内身の回り品特約」では、パソコンやタブレット端末は補償対象外とされるケースがありますが、おりても身の回り品特約では補償が受けられます。

ただし、スマートフォンは補償対象外となるため注意しましょう。

他にも、

  • 身の回り品に存在する欠陥、摩滅、腐しょく、さび、自然の消耗
  • 故障による損害
  • 自転車の盗難被害
  • 漁具、サーフボード、ウインドサーフィンの流失による損害
  • 詐欺または横領
  • 身の回り品の置き忘れによる紛失

といったケースでは補償を受けることができません。

おりても特約が適用されるシーンはこんなとき

おりても特約の補償を受けるには、保険契約の車や家族が所有する車で出かけることが大前提です。

車で出かけた先で、「ケガを負ったとき」や「モノを壊してしまったとき」に、おりても特約の補償が受けられる可能性があります。(内容によっては補償対象外になるので注意しましょう)

一例を挙げると、以下のようなシーンがあります。

  • ゴルフ
  • 釣り
  • スキー
  • サーフィン
  • 登山
  • キャンプ

このようなスポーツやレジャーシーンでケガをしたり、高額なレジャー用品を壊したりといった場合に、おりても特約が役に立ちます。

おりても特約の保険料と等級について

おりても特約の保険料は以下の通りです。

条件:12等級、30歳以上、ブルー免許で試算

補償範囲 年間特約保険料 月換算
本人型 2,240円/年 1ヶ月あたり187円
夫婦型 3,530円/年 1ヶ月あたり294円
家族型 8,450円/年 1ヶ月あたり704円

(※2023年1月現在/筆者試算)

等級や年齢など、条件による違いはほとんどありませんでした。

また、おりても特約を使用してもノンフリート等級は下がらないので、安心して特約を使用することができます。

おりても身の回り品特約と車内身の回り品特約の違い

ここまでの解説を読んで、一般的な自動車保険に用意される「車内身の回り品特約」とどう違うのかと疑問をもつ人がいるかと思いますので、ここで違いを整理してみましょう。

ソニー損保のおりても特約で補償される身の回り品は、“車から持ち出した荷物の損害”が対象です。車内に置かれた荷物の盗難以外の損害に関しては、補償の対象外になっています。

車内身の回り品特約は、一般的に車内に置かれた荷物のみが補償対象です。

おりても身の回り品特約とは反対に、車外に持ち出した荷物に関しては補償が受けられません。

▶車内身の回り品特約についてはこちら

 

おりても身の回り品特約と車内身の回り品特約の違い

おりても特約と似た補償を用意したいときは?

「ソニー損保以外で契約したいと思っていたけど、おりても特約が魅力的で捨てがたい」とお悩みの人もいるかもしれませんね。

おりても特約とまったく同じ補償を提供する保険会社は現時点ではありませんが、他の保険で代用することも可能です。

おりても傷害特約の補償内容は「傷害保険」にあたり、おりても身の回り品特約は傷害保険に付帯可能な「携行品損害補償特約」でカバーできます。

デメリットは「保険料」です。

おりても特約は補償範囲を「車で出かけたときの損害」に狭めているため、割安な保険料で備えられますが、傷害保険では車に限らずすべてのシーンを幅広く補償の対象とするため、その分保険料も高くなります。

おりても特約の注意点

おりても特約は特殊な補償で、車で出かける機会の多い人にとっては魅力的な特約といえるでしょう。しかし、契約前に知っておきたい注意点もあります。

必ず確認して、加入後の「こんなはずじゃなかった!」をなくしましょう。

自転車保険の代わりにはならない

ソニー損保のおりても特約は、あくまでも“自分”に生じた損害を補償するための保険です。

自転車保険のような他人に対する損害賠償には対応していないため、自転車保険の代わりにはなりません。

(※過去には他人に対する損害賠償を補償する「おりても個人賠償特約」もセットになっていましたが、現在は補償内容が変更されています)

免責金額5,000円を支払う必要がある

おりても身の回り品特約にはあらかじめ免責金額(自己負担額)5,000円が設定されています。つまり修理品が5,000円に満たない場合は、補償を使うことができません。

保険金額と免責金額の差額が少ないほど、補償を使う必要性が低くなります。

おりても身の回り品特約の補償は、あまり高額な持ち物を所持していない人に関しては不要な補償になるかもしれません。

特約を複数回使うと継続拒否される可能性がある

ソニー損保に限らず自動車保険では、保険期間を通じて2回以上保険を使うと、“リスクが高い契約者” とみなされ、翌年以降の継続を断られる、いわゆる「継続拒否」が発生する可能性が高まります。

特にソニー損保のおりても特約は、幅広いシーンで補償を使うことが可能なため、実際に継続拒否を経験した人も多いようです。

翌年以降も保険契約を継続したいと考えるのであれば、1年間の契約期間中に2回以上保険金請求をしないように、利用シーンをよく考える必要があるでしょう。

おりても特約が必要なのはどんな人?

上記の注意点を踏まえつつも、付けておくと幅広いシーンで役に立つ特約です。

特に恩恵を受けやすいのは、

  • 車に乗ってレジャーやスポーツをしに行く機会が多い人
  • 高価なレジャー用品を所持している人
  • 子どもを連れて車で出かける機会が多い人(家族)

などが当てはまるでしょう。

ケガの場面にはこだわらないので、例えば「車に乗って公園にお出かけ。子どもが遊んでいたら大ケガをした」というようなケースでも、子どもの通院費等が補償されます。

車に乗って出かける機会が多い人はおりても特約を付帯すると安心できるでしょう。

まとめ:おりても特約で手厚い補償を備えよう

おりても特約は車での外出中、途中で車を降りたときに生じた損害を補償してくれるソニー損保独自の特約です。

ケガや死亡・後遺障害等の補償だけでなく、手荷物品の損害までも幅広く補償されるため、頻繁に車で出かける人が恩恵を受けやすい特約といえるでしょう。

中には補償の対象外にあたるケースや、補償を使いすぎて継続拒否を言い渡されるなど、注意点もありますが、車でレジャーやスポーツに出かける機会が多い人は、加入を検討してみてはいかがでしょうか。

本サイトは情報提供が目的であり、個別の金融商品に関する契約締結の代理や媒介、斡旋、推奨、勧誘を行うものではありません。本サイト掲載の情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社及び情報提供者は一切の責任を負いません。

掲載されている情報は、FRAMEほけん編集部が独自にリサーチした時点の情報、または各商品のJANコードをもとにECサイトが提供するAPIを使用し自動で生成しています。掲載価格に変動がある場合や、登録ミス等の理由により情報が異なる場合がありますので、最新の価格や商品の詳細等については、各ECサイト・販売店・メーカーよりご確認ください。

この記事を書いた人

writerImage

夏川さほ(2級FP技能士)

4児の母。国内大手の生命保険会社に2年の勤務経験があり、個人や企業向けに生命保険と損害保険を販売しておりました。保険商品は内容を正しく理解するのが難しいので、わかりやすい解説を心がけています。公的保障を考慮した“本当に必要な保険”を提供したいと考え、2022年6月、FP2級を取得しました。

return-to-top上に戻る
FRAMEほけんslash-divider自動車保険slash-divider投稿一覧slash-dividerソニー損保「おりても特約」の補償内容は?必要性や注意点を解説

FRAMEほけん

FRAMEほけんを運営する株式会社自転車創業は保険会社または保険代理店ではありませんので、保険の媒介・募集・販売行為は一切行いません。

Copyright ©︎ Bike Startup & Co. All Rights Reserved.