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基礎知識

新車買替特約(新車特約)とは?補償内容や必要性を解説

任意の自動車保険に特約で付帯できる「新車買替特約(新車特約)」。

「新車買替特約って本当に必要なの?」

「車両保険だけで十分じゃないの?」

といった疑問をお持ちの人も多いのではないでしょうか。

車両保険の補償の限度額は、事故当時の車の時価額までとなっています。

そのため、購入から間もない車で全損事故を起こした場合であっても、車両保険だけでは補償が賄えない可能性もあります。

そんなときに役に立つのが「新車買替特約」です。

今回は、新車買替特約の補償内容やメリット・デメリット、必要性について詳しく解説します。

▶車両保険の保険料について知りたい方はこちら

新車買替特約とは

新車買替特約とは車の買い替えや修理が必要になるほどの事故にあった場合、車両保険だけでは補償されない部分の費用をカバーできる保険です。

車両保険では、事故時点の車の時価額の範囲内でしか補償が受けられません。

例えば事故により車が全損となり、同等の車を200万円出して購入したといった場合。

もし事故時の車の時価額が160万円だとしたら、車両保険から受けられる補償は160万円のみなので、差額の40万円は実費になります。

こんなとき「新車買替特約」があれば、差額の40万円も補償されるといった仕組みです。

なお、保険会社によって以下のように名称が異なります。

  • 新車特約
  • 新車買替特約
  • 車両新価特約

補償内容が異なる場合もありますが、いずれも「車両保険で賄いきれない補償をカバーする目的」で加入する特約と考えていただいてOKです。

新車購入後、何年目まで付帯できる?

新車買替特約は、主に「新車」の間のみ付帯可能な特約となっています。

ただ「新車」の定義は保険会社によってさまざまです。

25ヶ月(約1年)以内というところもあれば、73ヶ月(約6年)以内という保険会社もあります。そもそも新車買替特約を用意していない保険会社も中には存在します。

以下に新車買替特約の取扱いがある保険会社と、契約可能な車の年数をまとめました。

損保協会会員保険会社 商品名 新車特約の名称 契約可能な車の年数
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 タフ・クルマの保険 新車特約 初度登録の翌月から61ヶ月以内
AIG損害保険株式会社 AAP(家庭用総合自動車保険) 車両新価特約 初度登録の翌月から61ヶ月以内
損害保険ジャパン株式会社 個人用自動車保険「THE クルマの保険」 車両新価特約 初度登録の翌月から73ヶ月以内
東京海上日動火災保険株式会社 トータルアシスト自動車保険(総合自動車保険) 車両新価特約 初度登録から61ヶ月以内
日新火災海上保険株式会社 ユーサイド(新総合自動車保険) 車両新価特約 初度登録から61ヶ月以内
三井住友海上火災保険株式会社 GK クルマの保険 新車特約 初度登録の翌月から61ヶ月以内
アクサ損害保険株式会社 アクサダイレクトの自動車保険 車両新価特約 初度登録の翌月から61ヶ月以内
イーデザイン損害保険株式会社 自動車保険 車両新価特約 初度登録の翌月から11ヶ月以内
セゾン自動車火災保険株式会社 おとなの自動車保険(セゾン自動車保険) 車両新価特約 初度登録の翌月から25ヶ月以内
ソニー損害保険株式会社 自動車保険 新車買替特約 初度登録から25ヶ月以内
三井ダイレクト損害保険株式会社 総合自動車保険 新車特約 初度登録から61ヶ月以内
楽天損害保険株式会社 ドライブアシスト 車両新車取得費用補償特約 初度登録の翌月から61ヶ月以内

※2022年12月時点、筆者調べ

もっとも多いのは「初度登録の翌月から61ヶ月以内」です。つまり、一般的に初度登録年月から5年以内の車両に付帯できる特約であることがいえます。

ただし初度登録年月から年数が経つほど、新車買替特約の保険料は高くなるため、「何年目まで特約を付帯するか」の見極めが肝心となるでしょう。

1年ごとに値落ちする!?減価償却の考え方

車両保険で補償されるのは、事故当時の車の時価額までです。

そもそも「車の時価額」とは、どういった仕組みで算出されているのでしょうか。

車両保険の保険金額は限度額が定められています。そのため、車の修理費や買い替え費用をすべて補償してもらえるというわけではありません。

限度額の基準には、車両の“市場価値”ではなく、“減価償却”による判断基準が取り入れられています。

車や建物のような固定資産の価値は、年数が経過するごとにだんだんと下がっていくというのが減価償却の考え方です。

新車で購入した場合であっても、1年ごとに約20%ずつ車両価値が下がっていく計算になり、車両保険で支払われる保険金の限度額も年々減少してしまいます。

新車買替特約は、購入時の新車価格と減価償却により下がった車両価値の差額分を埋める役割を果たしてくれる保険です。

新車買替特約の補償内容について

続いて、新車買替特約の補償内容を詳しく見ていきましょう。

補償内容

新車買替特約で受けられる補償は、実際にかかる自動車の再取得費用(車両本体価格+付属品+消費税)または修理費用のいずれかです。保険会社によっては、車の再取得にかかる税金などの諸費用部分も補償されるケースがあります。

一般的に、契約時に設定した「新車保険価額(新車価格の相当額)」が補償の限度額になります。

補償が受けられる条件

ただ単に「塀にこすって車体に傷がついた」「バンパーが少し凹んだ」といった軽い修理では、新車買替特約の出番はありません。

新車買替特約の補償を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まずは車の状態から見ていきましょう。

  1. 車が全損になった場合
  2. 車の修理費が、加入時に設定した「新車保険価額」の50%を超える場合

全損=車の買い替えが必要となるケースが多いので、そうなると車両保険だけでは補償が賄えないケースが多くなるでしょう。「全損」というのが、新車買替特約を利用できるひとつの条件です。

次に、全損にはあたらないが大規模な修理が必要となった場合。修理費が新車保険価額の半分を超えなければ、新車買替特約を利用することができません。

また、買い替えや修理には「期限」がある点に注意が必要です。

保険会社によって、事故日の翌日から「90日以内」「6ヶ月以内」「1年以内」というように、期限にばらつきがあります。

加入中の保険は、いつまでに買い替えや修理を済ませる必要があるのか?

しっかりと把握しておくことが大切です。

補償対象外となるケース

事故の内容によっては、新車買替特約の補償が受けられないケースもあります。

具体的には以下のような損害が補償対象外とされています。

  • 盗難や自然災害による損害
  • 内装のみの損害や軽微な損害
  • 車両保険で補償されない損害

盗難について補足すると、「盗難された車が返ってきたが、盗難中に損害を受けていた」という場合は、補償の対象とされるのが一般的です。

また「内装のみの損害や軽微な損害」も補償対象外となっていますが、具体的にはフレームやエンジンといった車の主要部分に大きな損傷がない場合、補償の対象にはなりません。

車両保険で補償されない損害には、以下のようなケースが該当します。

  • 故意または重大な過失によって生じた損害
  • 地震、噴火またはこれらにより生じた津波に起因する損害
  • 詐欺または横領によって生じた損害
  • 欠陥、摩滅、腐しょく、さび、その他自然の消耗による損害
  • 故障による損害
  • 法令により禁止されている改造を行った部分品または付属品に生じた損害
  • 無免許運転・飲酒運転・薬物乱用など正常な運転ができない状態で生じた損害レース・ラリーなどの競技または曲技に使用する目的で生じた損害(練習やそれらを行う場所で起きた損害も含む)

新車買替特約のメリット・デメリット

新車買替特約は心強い補償である半面、万人に必要性の高い補償とは限りません。

ここでは新車買替特約のメリットとデメリットを解説します。

「自分にとってメリットとなるか、デメリットとなるのか?」の判断基準になれば幸いです。

新車買替特約を付帯するメリット

新車買替特約を付帯しておけば、事故による車の買替費用のほとんど(※)を保険で賄うことができます。この点は大きなメリットだといえるでしょう。(※新車購入時にかかる諸費用は自己負担になる可能性があります)

事故による精神的なダメージはそれなりに大きいものですが、さらに金銭面の負担もかかるとなると、二重で苦痛を受けることになります。せめて金銭面の負担だけでも軽減できたらありがたいですよね。

また契約時に設定した新車保険価額の範囲内であれば、違う車種に乗り換え可能な点も大きな特徴です。

新車買替特約を付帯するデメリット

事故時の金銭的な負担を軽減する新車買替特約。デメリットは、特約を付帯する分保険料が割高になってしまう点です。

新車買替特約は、あくまでも車両保険に付帯可能な“特約”になっています。

そのため、新車買替特約の保険料に加え、車両保険料も支払わなければなりません。

もう一つのデメリットとして、実際に事故が起きたとき車両保険を使うと、3等級ダウンしてしまう点が挙げられます。

等級が落ちると翌年以降、一定期間は保険料が割高になるため、場合によっては保険を使わずに対応した方が良いケースもあります。

新車買替特約の注意点

新車買替特約は、すべての事故が補償の対象になるわけではなく、補償対象外となるケースも多く存在します。

中でも、車の損傷度合いによっては補償が受けられないケースに注意が必要です。

契約時に設定した新車保険価額の50%以上の修理費が実際にかからなければ、新車買替特約からの補償を使うことはできません。

例えば新車価格を200万円と設定した場合、修理費が100万円以下のときは新車買替特約の出番はないことになります。せっかく特約を付帯しても、使える機会が少ないのです。

その他、「盗難」の被害に遭った場合の補償内容にも要注意

盗難被害に遭ったとき車両が見つからなければ、車両保険では全損扱いとして補償が受けられますが、新車買替特約からは補償が受けられないことを覚えておきましょう。

新車買替特約の保険料相場

“特約”といえども自動付帯の補償ではないので、新車買替特約を付帯するには「特約保険料」を支払わなければなりません。

新車買替特約の保険料は「一律〇〇円」のように決まってはおらず、車種や初度登録年月からの期間によって、3,000円~10,000円程度と大きく差が生じます。

加入時に「新車保険価額」を設定する必要があるので、ネット上のシミュレーションや一括見積もりには対応していないケースが一般的です。

新車買替特約を付帯したい場合は、別途保険会社への問い合わせが必要となります。

新車買替特約が必要なのはこんな人

ここまで、新車買替特約の特徴やメリット・デメリットなどをお伝えしてきました。

これらを踏まえた上で、新車買替特約が必要な人の特徴を以下にまとめています。

「新車買替特約を付帯しようか迷っている」という人は、ぜひ参考にしてください。

新車を購入したばかりの人

新車を購入して早々に、車が大破するほどの事故に見舞われる可能性もないとは言い切れません。確率の問題にはなりますが、どれだけ細心の注意を払って運転したとしても事故を100%防ぎきることは難しいからです。

せっかく新車を買ったばかりなのに、事故のせいでまた買い替えとなれば、金銭的な負担が懸念されるでしょう。そうした事態を防ぐなら、新車購入から間もない時期は特約を付帯するのがおすすめです。

ローンを組んで車を購入した人

自動車ローンを組んで新車を購入した場合、万が一事故により車に乗り続けることができない状態になってしまったとしたら、手元にはローンのみが残ることになります。

また、直近で“ローンを組んで新車を買った”ということは、再度車を購入する際もローンを組むことになるはずです。そうなるとダブルローンを組むことにもなり、ローンの審査が厳しくなったり、審査に通っても返済が厳しかったりとさまざまな問題が発生するでしょう。

例え車が無くなってもローンは無くならないので、ローンを組んで新車を購入した人は、万が一に備えて新車買替特約を付帯することをおすすめします。

まとめ:新車買替特約で補償を手厚く!

新車買替特約は、車両保険では賄いきれない「時価額以上」の補償をカバーしてくれる保険です。

新車を購入したばかりの人や、車をローンで購入した人にとって大きなメリットがあります。

とはいえ、実際に新車買替特約を使う場面はあまり多くはないかもしれません。

しかし特約を付帯することで、手厚い補償を用意できます。

新車買替特約を付帯するには車両保険料も支払う必要があるので、保険料支払いと特約を付帯するメリットとのバランスを見極めることが大切です。

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この記事を書いた人

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夏川さほ(2級FP技能士)

4児の母。国内大手の生命保険会社に2年の勤務経験があり、個人や企業向けに生命保険と損害保険を販売しておりました。保険商品は内容を正しく理解するのが難しいので、わかりやすい解説を心がけています。公的保障を考慮した“本当に必要な保険”を提供したいと考え、2022年6月、FP2級を取得しました。

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