「示談交渉サービスとはどのようなサービスだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?
交通事故が起きた時、法的な問題を当事者同士で解決するのは困難です。示談交渉サービスを利用すれば、訴訟をするよりも短時間で解決することができるため、多くの当事者にとって有利な選択肢となっています。
このように示談交渉サービスは、万が一の事故に遭遇したときに頼もしいサービスですが、注意点も存在します。
そこで本記事では、サービスの内容や利用する場面・注意点など、示談交渉サービスの全体像を紹介します。
内容を把握して、万が一のときにサービスを活用するためにも、ぜひ最後までご覧ください。
示談交渉サービスとは
示談交渉サービスとは、事故で損害賠償責任が発生した場合に、保険会社が示談をおこなってくれるサービスです。
また、示談とは紛争を当事者同士の話し合いで解決することを指し、示談金の金額や示談金の支払い方法などを決めます。通常は、任意の保険会社同士で話し合いが進められますが、例外もあります。例えば事故の相手が任意保険に加入していない場合は、保険会社は交渉に出てきません。
「直接、当事者間で話し合いをすればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、示談交渉に不慣れな人が話し合いを進めるのは困難です。その理由として、以下が挙げられます。
- 過去の判例をもとに過失割合を決定するため
- 示談書の作成が必要なため
ただし、もらい事故の場合は示談交渉サービスを利用できないといった制限もあります。なぜならもらい事故で保険会社が示談交渉をすると「法律事務」とみなされ、弁護士法第72条に抵触するためです。
▶もらい事故で示談交渉サービスの代わりに利用できるサービスはこちら
現在はほとんどの自動車保険に示談交渉サービスが含まれていますが、一部の保険会社では示談交渉サービスが含まれていません。
加入しようとしている保険や、すでに加入している保険で示談交渉サービスが含まれているか、あらためて確認してみましょう。
弁護士費用特約と示談交渉サービスの違い
示談交渉と関連のあるサービスとしては、弁護士費用特約も挙げられます。弁護士費用特約と示談交渉サービスの主な違いは、下記のとおりです。
弁護士費用特約 | 示談交渉サービス | |
概要 | 弁護士への依頼費用を補償 | 保険会社が被害者の代理で示談交渉をおこなう |
被保険者 | 被害者 | 加害者 |
示談交渉サービスが使えない場合でも、弁護士であれば依頼できることもあります。
「万が一のときは弁護士にも相談したい」という人は、弁護士費用特約への加入を検討することもおすすめです。
示談交渉サービスが必要な場面
「そもそも示談交渉サービスが本当に必要なのかが、いまいちわからない」と思っていませんか?
以下に該当するのであれば、示談交渉サービスは必要であるといえます。
- 示談交渉に時間や労力を割けない場合
- 示談交渉をスムーズに進める自信がない場合
さらに具体的に言えば
- 普段は仕事をしていて時間が取れない人
- 示談交渉が初めてでうまく話し合えるとは思えない人
以上の人は、示談交渉サービスの利用がおすすめです。
なお、当事者同士の話し合いでは、感情的になってしまい、まったく示談が進まないことも考えられます。
示談交渉の経験が豊富な保険会社に示談をお願いすると、円滑に話し合いが進みやすくなります。
示談交渉サービスを利用する際の注意点
示談交渉サービスを利用するうえで、以下のようにいくつか注意点があります。
- もらい事故の場合など、示談交渉を利用できないケースがある
- 示談はやり直しができない
- 弁護士に依頼したほうが受け取れる金額が多いこともある
それぞれ解説します。
1.もらい事故の場合など、示談交渉を利用できないケースがある
示談交渉サービスは、すべての事故で利用できるわけではありません。
代表的な例として、もらい事故が挙げられます。もらい事故では自身の過失割合が0のため、賠償責任を負うことがなく、保険会社は保険金を支払う必要はありません。
このとき、もし保険会社が当事者に代わって示談交渉をおこなってしまうと、非弁行為に当たります。非弁行為とは、弁護士しかできない法的なサービスを、弁護士以外が実施することです。
もらい事故の場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。
2.示談はやり直しができない
原則、示談はやり直しができません。示談の撤回が許可されてしまうと、いつまでも事故の解決が図れないためです。
例外として、詐欺や強迫で成立した示談の場合、撤回できることはあります。しかし、一般的には示談のやり直しは不可能だと考えて、示談交渉をおこないましょう。
3.弁護士に依頼したほうが受け取れる金額が多いこともある
被害者側の場合は、示談交渉サービスより弁護士に依頼したほうが受け取れる金額が多くなることもあります。
その理由として、慰謝料の計算基準が以下のように異なることが挙げられます。
- 自賠責基準:自賠責保険で利用される計算基準
- 任意保険基準:保険会社で決められた計算基準
- 弁護士基準:過去の判例をベースにした計算基準
弁護士基準が最も高額になりますが、加害者側の保険会社が提示する金額は、2の任意保険基準です。
一方、弁護士に依頼すると弁護士基準を用いて慰謝料を計算するため、受け取れる金額の増額が見込めます。
まとめ
示談交渉サービスは、示談交渉を保険会社が代わりにおこなってくれるサービスです。
現在はほとんどの会社で、示談交渉サービスが任意保険に含まれていますが、一部で示談交渉サービスが提供されていない保険も存在します。
まずは、示談交渉サービスが加入している保険に含まれているかを確認しましょう。
ただし、必ずしも示談交渉サービスを利用できるわけではなく、自身に過失がない事故などでは利用できません。
また、場合によっては弁護士に依頼したほうが多くの示談金を受け取れる可能性もあります。
時には弁護士費用特約を利用することも視野に入れて、自動車保険を見直してみましょう。