東京都足立区は自転車を利用する人に自転車損害賠償保険への加入を2020年から義務付ける条例の制定を目指しています。制定されれば自転車保険の加入を義務化する条例は都内で初となります。足立区は、罰則規定は設けない方向で、5月14日まで実施しているパブリックコメントで区民の声を反映させながら、義務化の対象を区民に限定するかなどの細部を決め2019年10月には施策の決定を行う予定です。
足立区は起伏がない地形で、また駅から遠い地区が多くあるため、自転車が区民の手軽な移動手段となっています。しかし2018年発生した自転車が関係する交通事故は663件であり、23区内でワースト2位と近年ではワースト上位の区となっています。
参考:足立区「自転車の安全利用条例の制定に向けて検討しています」
現在の条例
現在の足立区では、自転車の盗難を防ぐため、2018年1月より都内で初めて自転車利用者に施錠を義務化した条例が制定されています。
しかし、制定されている自転車に関する条例が主に放置自転車対策となっているため、現在社会問題となっている自転車利用のマナー悪化による事故や、事故に対する高額補償の支払いについてなどの社会問題に対応できていないのが現状です。
制定予定の条例
今回の条例素案には自転車賠償責任保険の加入義務や、自転車利用環境整備などが取り入れられる予定で自転車に関する事故防止や自転車を安心・安全に利用できるようになることが期待されます。
現在検討されている加入義務の対象となる自転車損害賠償責任保険とは、自転車の利用によって起きた事故で他人にケガをさせた場合の損害を補償できる保険のことです。以前は自転車保険に入る目的の多くは自身のケガを補償する為という人が多かったのですが、最近では自転車による重大事故での高額賠償の例もあり、自分が加害者になった場合の備えに注目されています。
自転車保険に加入しよう
自転車関連事故件数は近年減少傾向にありますが、自転車対歩行者の事故は横ばいが続いています。そして自転車による事故によって高額の賠償が命じられる例も多く対策が必要な状況ですが、自転車保険の加入を義務付けるか否かは各自治体に任されており、国土交通省は「制度づくりは非常に困難」として一律の加入義務付けを見送りました。
しかしこれはあくまで制度作りが困難なのであって、保険が不必要なわけではありません。自転車保険は月々数百円から気軽に加入できるものや、家族のうち1人が加入すれば家族も補償範囲に含まれるものなど、さまざまな種類があります。義務化されているから保険に入るというよりも、自分を守るために保険に入ることを検討してみてはいかがでしょうか?