自転車保険の加入義務が全国的に広がっており、岐阜県では2022(令和4)年10月1日から、自転車保険の加入義務化が始まっています。
とはいえ、自転車保険加入の義務化と聞いても、
「自転車保険って入った方がいい?」
「どんな種類があるの?」
「入らないと罰則ってあるの?」
などのように感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は岐阜県の自転車保険の種類や加入方法、未加入の場合の罰則についてを詳しく解説していきます。
岐阜県の自転車保険加入の義務化はいつから?
岐阜県では「岐阜県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を2022(令和4)年4月1日に施行しました。
そして2022(令和4)年10月1日から、自転車保険の加入義務化とヘルメット着用の努力義務が施行されました。
岐阜県民が安心してくらせるように、自転車による交通事故防止や、被害の軽減などを目指しています。
参考:岐阜県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例について
どうして自転車保険の加入が義務化となったの?
全国的に自転車事故は増加し「高額損害賠償」を伴う事故も発生するようになったからです。
万が一自転車利用者が加害者となった場合の高額損害賠償に備えて、自転車保険に加入することが義務付けられました。
どうしてヘルメットの着用が努力義務になったの?
ヘルメットの着用で助かる命が増えると考えられているためです。
ヘルメット非着用時の致死率は、着用時と比べて3倍も高くなっています。
以下はヘルメットの着用と非着用で致死率を比較したデータです。
ヘルメットを着用していないと、ヘルメット着用時に比べて約3倍も致死率が上がるという結果でした。
ほかにも、自転車の定期的な点検整備、タイヤへの反射器材の装着など交通事故防止対策も努力義務として制定されました。
自転車保険で義務化の対象になるのは?
自転車保険で義務化の対象になり、加入すべき保険は「個人賠償責任補償」です(岐阜県の公式サイトでは自転車損害賠償責任保険等と記載されています)。
個人賠償責任補償とは、自分の受けたケガなどの損害補償ではありません。
自分が事故を起こしてしまった相手の損害を補償(病院代や慰謝料など)することです。
保険の契約内容によって、補償される上限金額はさまざまです。
岐阜県の条例では特に上限金額は定められていませんが、過去に約1億円の損害賠償請求事例もあるので、補償金額は1億円以上を上限とした保険商品を選ぶとよいでしょう。
高額の損害賠償請求に備えることができる反面、自転車保険の保険料は月々数百円ほどなので、加入しておくと安心です。
自転車保険に入らないことで罰則はあるの?
今のところ特に罰則はありません。
しかし過去に起きた自転車事故で高額な損害賠償請求のケースを参考にすると、自転車保険の加入は必須とも言えます。
以下は実際に高額賠償請求が発生した自転車事故の一例です。
年月・場所等 | 内容 | 賠償額 |
平成19年4月東京地裁 歩行者との事故 | 男性(37歳)が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入し、青信号で横断 歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。 | 賠償額 5,438万円 |
平成20年6月東京地裁 自転車同士 | 男子高校生が昼間、自転車横断帯の手前から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等後遺障害1級)が残った。 | 賠償額 9,266万円 |
平成25年7月神戸地裁 歩行者との事故 | 男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中にマウンテンバイクで坂道を20~30キロで爆走し、散歩中の女性(62歳)と正面衝突。意識不明の重傷を負わせた。(事故の原因が自転車の安全走行に対する児童への十分な指導をしていなかった保護者にあるとして、保護者に損害賠償を命じた。) | 賠償額 9,521万円 |
慎重に自転車を利用していたとしても、事故を起こしてしまう可能性は誰にでもあります。
万が一の備えとして自転車保険の加入をおすすめします。
自転車保険の種類と加入方法
自転車保険にはさまざまな種類、さまざまな加入方法があります。
自転車保険の種類と加入方法を紹介します。
民間の自転車保険
民間のさまざまな保険会社が、自転車事故に対応可能な自転車保険を取り扱っています。
義務化の対象になっている「個人賠償責任補償」のほかにも、自分が受けたケガなどに対しても補償可能な「傷害保険」もついています。
万が一の高額な損害賠償請求の補償だけでなく、自分自身に被害があった時も補償してくれるので安心できる保険です。
また、ネットやコンビニで簡単に申し込める自転車保険が多いので、気軽に加入できます。
個人賠償責任補償特約
加入している火災保険や自動車保険などの「損害保険」に、特約として付帯することが多いです。
以下のような保険やクレジットカートをお持ちの場合は、すでに個人賠償責任補償特約を付帯していないか、確かめることをおすすめします。
- 火災保険
- 自動車保険
- 傷害保険
- 学校や会社などの団体保険
- クレジットカード(※種類によります)
上記の保険に加入もしくはクレジットカードを持っている方は、個人賠償責任補償特約をすでに付帯していないか、確認してみてください。
損害補償限度額や、補償内容・補償の対象範囲も一緒に確認しておくと、万が一の自転車事故に備えることができて安心です。
岐阜県民共済
岐阜県民共済の生命共済、傷害保障型共済、新型火災共済のいずれかに加入済であれば、個人賠償責任保険も申し込むことができます。
1ヵ月あたり140円ほどの保険料で、保険の補償限度額は3億円と安心して備えることができる保険内容です。
インターネットで簡単に申し込むことができます。
TSマーク付帯保険
TSマーク取り扱い店で自転車の点検(有料)をすると「TSマーク」というシールを添付してくれます。
TSマークには賠償責任保険が付き、自転車の点検をするだけで自転車本体に保険がかけられるという仕組みです。
赤や青などTSマークの色によって補償金額や補償内容が違うので、自分にあった補償を選んでみてください。
岐阜県PTA連合会
岐阜県の国公立の小学校・中学校に通っている子供がいる場合は「岐阜県PTA連合会」の学生・こども総合保険に加入することができます。
自転車による賠償責任に対応しており、保険料によって補償内容・補償金額の上限が変わります。
学校から案内が配付され、申し込みの締め切りは3月末~4月上旬ですが、間に合わなかった場合は岐阜県PTA連合会に直接連絡してみてください。
参考:岐阜県PTA連合会
岐阜県外から訪れて自転車に乗る人も義務化の対象になります
サイクリング可能な場所の中で、日本一の高所となる乗鞍岳では「乗鞍スカイラインサイクルヒルクライム」というサイクリングレースがあります。
毎回たくさんの人がこのサイクリングレースに参加します。
県外から岐阜県に来て自転車に乗る人も「自転車保険加入の対象」となり、自転車保険の加入が必要です。
岐阜県外在住の人でも自転車に乗るなら、岐阜県の条例が適用されるので注意しましょう。
まとめ:自転車に乗る人は自転車保険に加入しよう!
岐阜県では、2022(令和4)年10月1日から自転車保険の加入義務化が始まりました。
自転車事故で高額な損害賠償事例が発生していることが背景の1つです。
自転車に乗る以上、誰でも事故を起こす可能性はあるので、万が一の事態に備えるのは大切なことです。
自転車保険は月々数百円から検討することができ、自分だけでなく家族も守れる保険なので加入しておきましょう。