全国各地で広がっている「自転車保険への加入義務」。2022年10月からは、いよいよ新潟県でも自転車保険の加入が義務化となることが発表されました。
「自転車保険って何?」
「どんな保険に入ればいいの?」
「絶対に入らないとダメ?」
こんな疑問をお持ちの人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、新潟県にお住まいの人に向けて、自転車保険の種類や加入方法、罰則についてなどを詳しく解説していきます。
新潟県の自転車保険加入の義務化はいつから?
新潟県では、2022(令和4)年10月1日より自転車保険への加入が義務化(※)となります。
10月1日から補償をスタートさせるには、遅くとも9月中に契約を済ませなければなりません。
申込みから補償開始までに1~2日ほどかかるケースが多いため、余裕をもって契約を済ませましょう。
保険会社によって指定可能な期間は異なりますが、保険の始期日(補償が開始する日)を指定して事前に契約することも可能です。
その場合、保険料は始期日から発生することになります。
参考:新潟県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の制定についてより
未加入の場合、罰則はある?
現時点では、自転車保険に未加入であっても罰則はありません。
ただし罰則がないとはいえ、万が一事故が起きたケースを考えると自転車保険への加入は必須だといえるのではないでしょうか。
以下、実際に高額な賠償請求が発生した自転車事故の事例をほんの一部紹介します。
事故の概要 | 賠償金額 |
男子小学生(11歳)が夜間、帰宅途中に自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路において歩行中の女性(62歳)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の傷害を負い、意識が戻らない状態となった。 | 9,521 万円 |
男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。 | 9,266万円 |
男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。 | 5,438万円 |
引用:自転車事故による高額賠償事例 より
ここで挙げたのはいずれも「過失割合10:0」の事故ですが、どちらにも過失が認められる事故が起きるケースも考えられます。
交通ルールを守って安全に走行していたとしても、大なり小なり事故に巻き込まれる可能性は否めません。自転車に乗る機会が少しでもある方は、自転車保険の加入を検討しましょう。
義務化の対象となる保険は?
「自転車保険というけど、どんな補償が義務化の対象になるの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
義務化にあたり、加入するべき保険は「個人賠償責任補償」です。(新潟県の公式サイトには「自転車損害賠償責任保険等」と記載されています)
個人賠償責任は、自分のケガや損害に対する補償ではなく、事故の相手が受けた損害(慰謝料や逸失利益など)に対する補償を指します。
賠償責任補償には、保険契約によって1,000万円~3億円までと幅広い補償金額が用意されていますが、いずれも月々数百円程度と安価な保険料で備えられるのが特徴です。
新潟県の条例では、補償金額までは指定されていません。しかし上記に挙げた事例をもとに考えると、少なくとも1億円以上の補償が受けられる保険に加入することをおすすめします。
また個人賠償責任は、“1契約で家族全員分の補償が受けられるが、単体での契約はできない”というのも大きな特徴です。
あくまでも損害保険商品の特約として付帯可能な補償なので、すでに何らかの損害保険に加入している場合は、その契約に賠償責任補償が付けられるかどうか確認してみましょう。
【保険の種類別】自転車保険の加入の仕方
条例で加入が義務づけられている「個人賠償責任補償」は、さまざまな形で加入することができます。
「どんな種類がある?」
「どうやって加入したらいい?」
ここではそんな声にお応えするべく、賠償責任補償付きの自転車保険の種類とそれぞれの加入方法について解説します。
民間の自転車保険
民間の保険会社が「自転車保険」という名称で展開している、自転車事故に特化した保険です。
自転車事故により自分が被ったケガの通院や入院にかかる費用、万が一死亡に至った場合の保険金などが補償される「傷害保険」に加え、事故の相手に対する「賠償責任補償」がセットになっています。
民間の自転車保険は、ネットからの加入が主流となっており、いつでも気軽に加入できるのが特徴です。
また最近では大手の損害保険会社とコンビニがタッグを組んで、割安で加入できる商品も販売されています。24時間・365日、コンビニで手軽に契約ができるので、普段忙しい方にもぴったりです。
個人賠償責任補償特約
すでに加入済みの自動車保険や火災保険といった「損害保険」の契約に、個人賠償責任補償を特約として付けることができます。
また保険以外にも、手持ちのクレジットカードに賠償責任補償特約を付帯できるケースもあります。
加入中の損害保険に特約をつけたい場合は、保険証券を手元に置き、代理店に電話をして手続きするケースが一般的です。
保険の加入時以外に特約のみを申し込む場合、保険商品によっては希望する日にちに補償が開始されないケースもあるため、注意しましょう。
新潟県民共済
生命共済、傷害保障型共済、新型火災共済のいずれかに加入中の人は「個人賠償責任保険」を契約することができます。
共済はインターネットから契約申込みができるのが特徴です。
すでに共済に加入済みの人は、共済加入証書に記載されている「加入者番号」を元に、個人賠償責任保険の加入手続きを進めることができます。
これから共済に加入しようと考えている人は、共済に加入後、改めて「個人賠償責任保険」を申し込む必要があります。
参考:新潟県民共済|ご加入の皆さまへご案内 より
TSマーク付帯保険
「自転車安全整備士」に点検・整備を実施してもらうと、自転車に赤いTSマークを貼り付けしてもらえます。
赤いTSマークには1億円の賠償責任補償が付いているため、点検と同時に条例に適用する補償を備えられるといったメリットがあります。
ただし、TSマークに付帯されている補償は支払い条件が厳しく、実際に事故が起きても保険金が支払われない可能性も高いかもしれません。
TSマークは自転車の安全・安心を証明するマークとして、おまけ的に考えておくのが良さそうです。
新潟県の自転車屋さんはこちら(新潟県自転車軽自動車商協同組合より)
新潟県PTA安全互助会 小・中学生総合補償制度
新潟県の小・中学校PTA連合会が推薦している総合補償制度でも、自転車事故に対応可能な賠償責任補償を備えることができます。こちらは小・中学生のお子さまがいるご家庭限定の保険です。
損害賠償の支払い限度額は1億円。1つ契約すれば、子どもだけでなく家族全員分の補償が受けられます。
学期末に学校から書類が配布されるので、必要事項を記入して郵送するだけで加入ができます。年度途中に加入する際は「新潟県PTA安全互助会」に連絡してみてください。
参考:小・中学生総合補償制度 | 新潟県小中学校PTA連合会 より
こんな人も義務化の対象になります
今回の条例は「新潟県内で自転車に乗る人」すべてが対象になります。
そのため、以下にあたる人も自転車保険の加入が必要です。
新潟県外からサイクリングに訪れる人
新潟県には久比岐自転車道をはじめ、魅力的なサイクリングコースが県内各所に点在しています。週末、県外からサイクリング目的で新潟に訪れる人もいるでしょう。
新潟県外にお住まいであっても、県内で自転車に乗る際は新潟県の条例が適用されます。
「レンタサイクルサービス」の利用者
新潟県では、自転車の一時貸し出しを行う「レンタサイクルサービス」が多数展開されています。
搭乗中の事故は、基本的に自己の責任のもと、各自で対応しなければなりません。
そのため例えレンタルであっても、自転車に乗る人は保険に加入しておく必要があります。
まとめ:自転車に乗る人は自転車保険に加入しよう!
新潟県では、2022年10月1日から自転車保険の加入義務が課されます。
万が一に備えて、少しでも自転車に乗る機会のある人は自転車保険に加入することをおすすめします。
条例で加入が義務付けられている保険は「個人賠償責任」という補償のみですが、保険商品の内容によっては、自転車事故に向かない補償も挙げられます。
加入の際は保険料の安さだけに捉われず、“事故が起きた際、本当に使える保険”を考慮して自分に合った保険に加入することが大切です。