相模原市では、「相模原市安全に安心して自転車を利用しようよ条例」が2017年12月25日より制定されました。この条例により、自転車保険加入の義務化が2018年7月1日より施行されます。
条例制定の背景
- 相模原市は自転車が利用しやすい環境であり、利用者が今後も増加傾向にある
- 全交通事故件数中の自転車事故件数の割合が市内で30.4%となっており、県内平均の21.7%に対して非常に高い(平成28年統計)
- 近年の自転車事故において高額な損害賠償が生じる事例がある
このような背景から、”被害者の確実な救済”とともに損害賠償請求を負った場合の”加害者の経済的負担の軽減”を図るために自転車保険の加入が義務付けられることとなりました。
自転車事故における高額な損害賠償が生じた事例
損害賠償額 9,521万円(神戸地方裁判所、2013年7月4日判決)
男児(11才)が夜間に自転車で走行中、歩行中の女性(62才)と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折等の障害を負い、意識が戻らない状態となった。損害賠償額 9,266万円(東京地方裁判所、2008年6月5日判決)
男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。
条例の内容と要約
「相模原市安全に安心して自転車を利用しようよ条例」では、14条の規定が定められており、市・市民・事業者・教育機関・自転車小売業者等、地域全体で自転車の安全で適正な利用を推進し、誰が何をすべきかその責務を明らかにする内容となっています。
では具体的に誰が何をしなければならないのでしょうか?
2018年7月1日より義務化される内容(条例12条・13条)について、簡単にかいつまんでいきましょう。
相模原市内で自転車を利用する人(市内に居住、または通勤、通学、滞在する人)
- 自転車利用者(未成年の場合はその保護者)は、自転車損害賠償保険等に加入しなければならない
相模原市内の事業者
- 事業者が従業者に自転車を利用させるときは、自転車損害賠償保険等に加入しなければならない
相模原市内の自転車小売業者
- 自転車を販売するときは、自転車購入者に自転車損害賠償保険等の加入の措置の有無を確認しなければならない
- 自転車損害賠償保険等の加入措置を確認できないときは、自転車購入者に自転車損害賠償保険等の加入に関する情報を提供し、自転車損害賠償保険等の加入を勧奨する
相模原市内の自転車貸付業者
- 自転車貸付業者は、自転車を借り受けようとする者に対し、自転車損害賠償保険等を付した自転車を貸し付けなければならない
相模原市のその関係団体ほか(自治会・交通安全協会・交通安全母の会・PTAなど)
- 市、関係団体、自転車損害賠償保険等を引き受ける保険者等は、自転車損害賠償保険等に関する情報を提供する
相模原市の人たちは具体的にどんなアクションが必要か?
相模原市で自転車を利用する人(市内に居住、または通勤、通学、滞在する人)は義務化に向け、自転車保険に加入しなければいけません。
では、自転車保険の選び方のポイントを簡単に説明していきましょう。
◎過去の自転車事故事例の損害賠償額(最高額9,521万円)を考慮すると、個人賠償補償(人や物に対する損害賠償補償)は最低でも1億円の補償があると安心です。
◎ご存知のない方が意外と多いのですが、すでに加入している火災保険、傷害保険、自動車保険等に個人賠償補償の特約が付いていることがあります。個人賠償補償は他の保険と重複しても損害賠償額までしか補償されませんので、現在加入している保険の内容と補償額を確認しておきましょう。
◎共済・各種団体保険(職場で加入している保険や学校のPTA保険など)にも自転車事故の損害賠償責任が補償されるものがありますので、こちらも合わせて確認するようにしましょう。
◎自身のケガの補償(障害補償)や家族構成によって保険料が変わりますので、予算に応じてプランを検討しましょう。示談交渉サービスやロードサービスが付帯されている自転車保険もあります。
相模原市のホームページでは、自転車損害賠償保険等の一例として、以下を紹介しています。
- 一般財団法人 全日本交通安全協会 サイクル安心保険
- 公益財団法人 日本交通管理技術協会 TSマーク付帯保険
- あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 タフ・ケガの保険
- au損害保険株式会社 自転車向けBycle(自転車ロードサービス付き)
- 共栄火災海上保険株式会社 自転車補償プラン
- 東京海上日動火災保険株式会社 eサイクル保険
- 三井住友海上火災保険株式会社 ネットde保険@さいくる
自転車保険の前に・・・
自転車保険はまさかの時の備えです。まずは自転車の危険性を再認識し、マナーや交通ルールを遵守することが一番の備えですね。自転車保険の義務化をきっかけに、安全に対する意識が高まることを期待しています。