70・80代を迎えた高齢者でも、自転車を利用している方をよく見かけるようになりました。通院や買い物、健康目的など様々なシーンで使われているようです。
しかし、いくら元気で健康に見えても、年齢と共に筋力や判断能力などは衰えていきます。全国の高齢者の交通事故件数は、各年代の中で最多となり、各自治体が交通ルール遵守の呼びかけなどを積極的に行なっています。
もし事故を起こした場合、自身のケガだけでなく、相手に大きなケガを負わせてしまう可能もあります。万が一を考え、自転車保険に加入しておくことがおすすめです。
高齢者の自転車事故の現状
まず、高齢者の自転車事故の実態を見てみましょう。グラフからもわかるように、自転車事故の件数の約2割を高齢者が占めており、全世代の中で一番多いことがわかります。
【自転車乗用中の年齢層別交通事故死傷者数の割合】
自分では実感がなくても、年齢を重ねると体は老化するもの。自転車の運転に必要な筋力や反射神経、判断能力などはどうしても鈍くなり、その老化現象が交通事故を引き起こす要因の一つになっています。
実際に、高齢者が引き起こす事故の原因の約6割は、高齢者側の不注意による交通ルール違反が原因となっています。自分で「大丈夫」と過信してしまい、事故が起きてから気づくようでは遅いのです。
もし家族の中に自転車に乗っている高齢者がいる場合、無理な自転車の利用は控えるように促し、交通ルールを一緒に確認しながら安全への意識を高めていくことが大切です。また、自動車を運転している際に高齢者の乗った自転車に遭遇した場合は、運転のスピードを落とし、距離をあけて走るのが安心でしょう。
高齢者向け自転車保険のポイント
自転車利用者の増加に伴い、自治体などでは自転車保険の加入を義務化する動きが進められています。高齢者も例外ではなく、むしろ事故を起こすリスクが高いことからも、自転車保険の加入を強くおすすめします。
加入する場合、確認するポイントは以下になります。
<対象年齢>
70歳以上でも加入できる保険はありますが、数は限られます。まずは、年齢に合った保険をまず探してみましょう。au損保の「バイクル・エス」は高齢者専用の内容で89歳まで加入することができため、高齢の方におすすめの保険です。
<補償金額>
自転車事故では、相手をケガさせてしまった場合に高額な補償を負う場合があります。数千万円の請求になる場合も珍しくないので、保険の補償額は1億円以上のものに加入しておくことと安心でしょう。
<契約者と対象者>
対象となる高齢者はもちろん、18才以上の親族の方でも契約できる場合があります。また、賠償責任保険の保険の対象となる人は、契約した本人、その配偶者、同居中の親族なども含まれることもあります。
また、親族が加入している保険に高齢者も対象となる場合があります。すでに同居をされている高齢者は、自転車保険を契約する必要がないことも考えられるので、加入を検討する際には確認をしましょう。
70歳以上でも加入できる保険
<TSマーク>
TSマークとは、自転車安全整備士の整備をうけた自転車に貼り付けてもらえる赤または青のマークのことです。一年に一回の安全点検費は必要ですが、保険料は必要ありません。
赤色TSマーク
- 対象年齢:上限なし
- 個人賠償補償:1億円
- ケガの補償:15日以上の入院で10万円
- 死亡後遺傷害:100万円
青色TSマーク
- 対象年齢:上限なし
- 個人賠償補償:1,000万円
- ケガ補償:15日以上の入院で1万円
- 死亡後遺傷害:30万円
<au損保「バイクル・エス」>
対象の上限年齢が89歳の自転車専用保険。80歳以上が対象に入る保険は少ないです。
- 対象年齢:70~89歳
- 保険料:560円/月
- 個人賠償補償:2億円
- ケガ補償:3日以上の入院で4万円
- 死亡:400万円
<JCA>
JCA(日本サイクリング協会)の会員になると加入できる保険です。年会費4000円もプラスで必要なので合計7000円が必要になります。
- 対象年齢:5~80歳
- 保険料:3,000円/年
- 個人賠償補償:1億円
- 死亡後遺障害:272万円
<モンベル>
5年契約も可能で、契約期間が長期になるほど保険料がお得になります。長期の加入を考えている方におすすめです。
- 対象年齢:79歳未満
- 保険料:4,300円/年
- 個人賠償補償:1億円
- 死亡後遺障害:100万円
まとめ
自転車は移動手段としてはもちろん、健康の維持としても最適なため、今後ますます高齢者の利用が増えていくでしょう。ですが、それに伴って心配されるのが事故の発生です。
本人だけでなく、周囲の家族も積極的に自転車利用について意識を高め、万が一の自体に備えていくことが大切になります。自転車保険の加入についても検討してみるのはいかがでしょう。