自転車事故件数が都内最多の世田谷区が、自転車事故を補償する「区民交通傷害保険」を開始しました。すでに10区がこの保険を取り入れていますが、区民・通勤者に加えて通学者にも適用されるのは世田谷区が初めてです。
今回は世田谷区の「区民交通傷害保険」について解説します。
区民交通傷害保険とは
区民交通傷害保険とは、少額の保険料を払うことで、交通事故に遭った際の通院・入院の治療日数と治療期間に応じて保険料を受け取ることができる保険のことです。
区が窓口となっている保険ですが、国内・国外問わず交通事故に遭った際に適用されます。
また保険料を400円プラスすると「自転車賠償責任プラン」にも加入することができます。これは、国内で他人に怪我を負わせてしまい損害賠償責任を負ってしまった場合に損害賠償金および、費用が支払われるものです。
<対象者>
平成30年7月1日の時点で、世田谷区に住所のある方および在勤者・在学者ならどなた
でも加入できます。年齢や職業に制限はありませんが、加入した本人のみに適用されます。
<申し込み受付機関>
区内金融機関(ゆうちょ銀行・郵便局、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協)
※上記の金融機関に加入申込書と合わせて保険料を支払います。
<期限>
申し込み期限は6月22日(金)で、保険の適用期間は平成30年7月1日(午前0時)~平成31年6月30日(午後12時)まで1年間です。この保険は1年毎の契約更新が必要なので、毎年申し込み手続きが必要です。
区民交通傷害保険の内容
まず、区民交通傷害保険の保険金を支払われる主な場合ですが、世田谷区が提供しているリーフレットには下記のように記されています。
日本国内・国外を問わず、次の①~③のいずれかに該当する交通事故
によりケガをされた場合に保険金をお支払いします。
- 搭乗している車両の衝突、つい落、転覆、火災、爆発等
- 搭乗している車両からの転落
- 車両に搭乗していない場合の運行中の車両との衝突、接触等
出典:区民交通傷害保険 平成30年度申込用 リーフレット
ただし、「自転車搭乗中、転倒しなかったが手足を痛めた」という場合は適用されないので注意が必要です。
次に、支払われる保険金について。
区民交通傷害の保険金は「死亡保険金」「後遺傷害保険金」「医療保険金」の3つに分かれています。
<死亡保険金>
事故により死亡された場合に支払われます。
事故の発生日から180日以内に死亡した場合、全額が支払われます。しかし、事故発生からすでに医療保険金が支払われている場合は、その金額が差し引かれて支払われます。
<後遺傷害保険金>
事故により重度後遺障害を負った場合に支払われます。
死亡保険と同様に、180日以内に重度後遺障害を負った場合、全額が支払われます。しかし、事故発生からすでに医療保険金が支払われている場合は、その金額が差し引かれて支払われます。
<医療保険金>
事故によって怪我をした場合に、支払われます。
通院・入院の治療日数・期間によって金額が変動します。
自転車賠償責任プランの内容
また、自分が自転車を運転中に他人にケガをさせてしまった場合に適用される自転車賠償責任プラン。こちらは区民交通傷害保険料に400円プラスするだけで加入が可能。最大で保険金1億円が補償されます。適用される内容としては下記が挙げられています。
(1)法律上の損害賠償金
身体賠償事故の場合 治療費、休業損失、慰謝料
財物賠償事故の場合 修理費など
(2)被害者に対する応急手当、緊急処置などの費用
(3)訴訟となった場合の訴訟費用や弁護士費用
自転車賠償責任プランも追加することでより安心
自転車に乗るということは自分が怪我を負うだけでなく、加害者になり得るリスクを負うとうことでもあります。区民交通傷害保険は自転車専用の保険ではないので内容が物足りないと感じる方もいるかもしれませんが、400円を追加することで自転車賠償責任プランに加入できるというのは魅力の一つ。
世田谷区の保坂展人区長も「区民交通傷害保険」の開始に際して、「自らの身を守ると同時に加害者になりうることを意識し、保険に入ってほしい」と発言しています。これを機会に世田谷区民の方は自分や家族の自転車保険を見直してみてはいかがでしょう?