東京都は、自転車を使う都民に対して、損害賠償保険の加入を義務付けるよう、9月の都議会定例会に条例の改正案を提出し、2020年度の施行を目指しています。(※自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例)
保険の加入率が低い
現在、東京都では自転車損害保険への加入は「努力義務」とされていて、義務ではありません。東京都が平成30年に行った調査によると、自転車損害保険の加入率は53.5%となっていて、これは加入を義務付けている他府県の加入率7割程度に比べて低い状態にあります。
また、自転車による交通事故の発生件数は11,771件で、全交通事故内の3割を超えています。これは、全国平均の約2割を上回っているため、多いといえるでしょう。
参考:都都民安全推進本部/自転車の保険加入義務化へ/都議会3定に条例改正案
加入義務化の方向性
2019年6月20日に行われた東京都の専門家会議では、保険加入が義務化された他府県での保険加入率の上昇と、自転車関連事故数の減少、もしくは横ばいであることから、保険加入が義務化されることによって安全意識が向上した可能性が考えられるとしています。
これらの結果から、東京都でも自転車損害賠償保険加入の義務化と加入促進を行うべきとの内容で議論されました。
委員からは、
「保険加入のメリットを都民に伝える努力が必要」
「自転車事故での約1億円の賠償判例など、高額保障ともなれば、個人の力ではどうにもならないということが十分に浸透していない」
第2回自転車の安全で適正な利用の促進に向けた専門家会議の開催より引用
などの意見があがりました。自転車は身近な乗り物ですし、免許もいらないのであまり意識をしていないかもしれませんが軽車両です。音楽を聴きながら、携帯電話を見ながらの「ながら運転」や、性能の良い自転車でスピードを出しすぎるなど、自転車側に大きな過失がある場合は、自動車事故と同様の重い責任を負います。もし加害者となり過失が大きければ高額の損害賠償が生じる可能性があるのです。
自転車保険に加入しよう!
自転車が絡む交通事故が減らない中、これまで東京都は高齢者等を対象とした実地を含む自転車安全利用講習会を開催したり、自転車用ヘルメットの着用を促す広報活動を行うなど対策を取ってきましたが、東京都内の自転車交通事故件数は減少に転じていません。
今回の条例改正案では、違反に対する罰則の取り決めは無い予定となっていますが、自転車保険は月々数百円から気軽に加入できるものや、家族のうち誰か1人が加入することで、家族も補償範囲に含まれる保険など、さまざまな種類があります。義務化されているから保険に入るというより自分や家族を守るためにも保険に入ることを検討してみてはいかがでしょうか?