「自転車保険ってどうやって入るの?」
「保険の選び方がよくわからない」
近年自転車保険の加入を義務とする自治体が増え、自転車保険に興味を持ち始める方も多いのではないでしょうか。
しかしいざ保険の申し込みをしようとしても、手続き方法や選び方がわからず困惑してしまうケースもあるのではないでしょうか。
そこで今回は自転車保険の入り方や商品の選び方、自転車保険の必要性などを解説します。
自転車保険を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
自転車保険はどこで入る?
自転車保険とは、自転車利用時に「自分が人や物に与えた損害」と「自分が負った怪我」を補償する保険です。
自転車保険の加入方法には下記の4通りがあり、好みに合わせて選べます。
- インターネット
- 自転車屋
- コンビニエンスストア
- 保険代理店
以下では、それぞれの加入方法を具体的に解説していきましょう。
インターネット
保険会社や保険代理店のホームページから、自転車保険の申し込みができます。
インターネットを経由して自転車保険を申し込むメリットは、パソコンやスマートフォンさえあれば時間と場所を選ばず手軽に操作が可能な点です。
またインターネットでの申し込みにはお店側の人件費や運営費が抑えられるため、比較的保険料が安い傾向にあります。
一方インターネット経由での保険加入には対面での説明がないため、インターネットでの作業や商品選びに不安がある方にとってハードルが高くなりがちです。
加入したい自転車保険の目星がついていたり、ネットでの買い物に慣れていたりするのであれば、自転車保険の申し込みも簡単にできるでしょう。
インターネットから加入できる自転車保険をまとめている比較サイトを活用してみるのも、自転車保険の種類を知る有効な手段です。
自転車屋
自転車の購入や点検・修理などで自転車屋に足を運ぶタイミングで、自転車保険の申し込みができます。
自転車屋では補償内容をスタッフに直接質問できるので、どんな商品を選べば良いかわからない場合でも安心です。
また自転車保険の下調べや申し込みが億劫になりがちでも、自転車の定期点検とともに手続きを済ませてしまえば保険の加入が先延ばしになる心配もありません。
自転車屋では提携する保険会社の商品のみを取り扱うため、お近くの自転車屋で申し込める自転車保険を事前に確認しておくとよいでしょう。
なお自転車屋では有料の点検を行うとTSマーク付帯保険に加入できる場合があります。
TSマーク付帯保険とは自転車安全整備士が点検を行った自転車に1年限りでつけられる障害補償や賠償責任補償です。
TSマーク付帯保険は一般的な自転車保険とは異なり、補償対象が自転車そのものとなるので、家族で1台の自転車を共有する場合などに適しています。
コンビニエンスストア
自転車保険はコンビニでも加入の申し込みができます。
コンビニで自転車保険を申し込むには、店内に設置してある情報端末機での操作が必要です。
コンビニによって情報端末機の操作方法が異なりますが、基本は画面の指示通りに操作するだけなので簡単に申し込みができます。
保険証券はコンビニでの申し込みから1週間程度で自宅に届けられるので、大切に保管しましょう。
以下ではコンビニごとの自転車保険の申し込み方法を紹介します。
ローソン・ミニストップ
ローソンやミニストップでは「Loppi」という端末で手続きを行います。
操作手順は下記の通りです。
- メイン画面で「ほけん」を選ぶ。
- 「自転車保険」を選び、画面の案内に従って入力する。
- 申込券を発券する。
- 発券から30分以内に申込券をレジに持ち込み、現金で会計をする。
ローソンやミニストップで申し込める自転車保険は、東京海上日動の商品となります。
セブンイレブン
セブンイレブンでは、マルチコピー機で自転車保険の申し込みを行います。
操作手順は下記の通りです。
- メイン画面で「保険」を選ぶ。
- 「自転車向け保険」を選ぶ。
- 画面の案内に従う。
- 内容を確認したら、「OK」を押す。
- 払込票を発行する。
- 30分以内にレジにて会計を済ませる。現金とnanacoが使用可能。
- 最後に「申込控」と「重要事項」を印刷して完了
なお、セブンイレブンで申し込める自転車保険は三井住友海上の商品となります。
ファミリーマート
ファミリーマートでもセブンイレブンと同様、マルチコピーにて自転車保険を申し込みます。
操作手順は下記の通りです。
- トップメニューから「保険/学び・教育」を選ぶ
- 「自転車向け傷害保険加入」を選ぶ
- 補償内容や保険料の確認をする
- 契約者情報・被保険者情報を入力する
- 最終確認を押す
- 申込券を発行する
- レジにて申込券を持ち込み、会計をする
ファミリーマートで申し込めるのは損保ジャパンの自転車保険です。
保険代理店
自転車保険の申し込みはオーソドックスに保険代理店でも行えます。
保険代理店を用いるメリットは、専門知識を持つアドバイザーから自分に合う保険の提案をしてもらえる点です。
どんな自転車保険を選べばよいかわからなかったり、自転車保険以外にも保険の見直しを検討していたりする場合、保険代理店に相談してみるとよいでしょう。
なお保険代理店では、保険のプロによる説明のもと複数の保険商品を比べられるメリットがありますが、仲介コストがかかる分保険料が割高になります。
自転車保険はどう選べば良い?
さまざまなタイプの自転車保険がある中、自分に合う商品を見つけるのには労力がかかるものです。
しかし下記のポイントを押さえておけば、納得のいく保険選びができるでしょう。
- 相手への賠償が十分である
- 示談交渉サービスがついている
- 自分のケガへの補償がある
- 既に加入している保険と重複がない
- 付帯サービスや特約が理にかなっている
- 家族型か個人型かを見極める
下記ではそれぞれのポイントを具体的に解説します。
相手への賠償が十分である
自転車保険を選ぶうえで個人賠償責任補償が十分にあるかどうかは最も注目すべきポイントです。
個人賠償責任とは自分が自転車に乗っているときに与えた人・物への損害を補償してくれるものです。
自転車事故では相手に大怪我を負わせたり死亡させたりするリスクがあり、加害者が負う賠償額が高額になる恐れがあります。
実際、自転車事故で数千万円から1億円近い損害賠償金が発生した事例も少なくありません。
事故の当事者や家族を守るためにも、個人賠償補償が1億円以上ある自転車保険を選ぶことをおすすめします。
示談交渉サービスがついている
示談交渉サービスとは自転車事故の過失割合などを決める示談交渉を、保険会社が代行してくれるサービスです。
示談交渉サービスがない場合、事故の当事者同士が交渉を行うか弁護士を立てて示談を行う必要があり、精神面・金銭面で大きな負担がかかります。
場合によっては当事者同士の主張が平行線をたどり、二次的なトラブルに発展するケースもあるでしょう。
示談交渉は過失割合によって損害賠償の金額を決める重要な場です。
保険のプロが自分に代わって示談交渉に臨んでくれる示談交渉サービスは、備えておくと安心できます。
自分のケガへの補償がある
自転車保険は相手への補償が十分であることも大切ですが、自分の怪我への補償も忘れてはいけません。
自転車保険の障害補償は、自分の怪我による入院や手術、通院などを補償してくれるものです。
自転車保険の種類によって補償内容は異なり、死亡や後遺障害を補償するものや入院を補償するもの、通院時から死亡時まで全てを補償するものなどがあります。
自分に必要な障害補償をよく考えたうえで、自転車保険を選びましょう。
なお医療保険や生命保険などの備えがすでにあるのであれば、自転車保険は障害補償のないものを選んでもよいでしょう。
既に加入している保険と重複がない
自転車保険に含まれている個人賠償責任補償や傷害補償は、自転車保険以外の保険でもカバーできるものです。
自転車保険を申し込む際には、すでに加入している保険に個人賠償責任保険や傷害保険がないかどうか確認しておく必要があります。
例えば個人賠償責任補償は自動車保険や火災保険の特約に入っている可能性があるものです。
また傷害保険や医療保険、死亡保険などに加入しているのであれば、改めて自転車保険で自分の怪我を補償する必要はありません。
補償の重複は保険料の無駄払いにつながるものです。
自転車保険を検討する前にまずは今加入している保険を確認し、どのような補償があるのかを明確にしておきましょう。
付帯サービスや特約が理にかなっている
自転車保険の付帯サービスや特約が、自分の理にかなっているかどうかを吟味しましょう。
例えば自転車保険の中には、自転車を指定した場所まで運搬してくれるロードサービス、弁護士に示談交渉を依頼できる弁護士特約などを付帯するものがあります。
これらの特約は自転車の故障時や過失割合が0のもらい事故に巻き込まれた際に役立ちますが、保険料も高額になりがちです。
自分が自転車に乗る状況を思い返し、必要な特約を選びましょう。
家族型か個人型かを見極める
自分や家族の自転車に乗る頻度を踏まえ、自転車保険の補償対象を選びましょう。
自転車保険には契約者の家族全員を補償する家族型と契約者のみを補償する個人型があります。
家族型は保険料が割高ですが、自転車をよく使う家族がいるのであれば家族型のほうが1人あたりの保険料がお得です。
一方、自分だけが自転車に頻繁に乗るのであれば、個人型を選び個人賠償責任補償を手厚くしておいたほうが安心でしょう。
自転車保険は家族の誰がどれくらい自転車を使うのかを考えたうえで、備え方を決めるべきです。
自転車保険の加入が必要な理由
国で保険の加入が義務付けられている自動車の運転者とは異なり、自転車保険は未加入で自転車に乗っても罰則がありません。
「自転車保険に入らなくても別にいいのでは?」という考えを持ち続ける自転車利用者もいることでしょう。
しかし万が一の事故に備えて自転車保険への加入は必要です。
下記では自転車事故で生じた高額な賠償事例や全国で進む自転車保険の義務化について具体的に解説します。
高額な賠償事例
自転車事故では歩行者にぶつかったり自転車同士が衝突したりすることで、相手に多大な損害をもたらすケースがあります。
被害者に後遺症が残ったり死亡したりすると、賠償金は数千万円と高額になりかねません。
下記では実際に自転車事故で裁判所が加害者に高額な賠償金の支払いを命じた事例を紹介しましょう。
年度 | 損害賠償額 | 事故内容 |
平成10年 | 1,800万円 | 信号待ちをしていた69歳の女性と自転車に乗った17歳の少年が衝突。被害者の女性は大腿骨の骨折により後遺障害8級7号の障害が残った。(大阪地裁) |
平成14年 | 3,120万円 | 75歳女性が、対向方向から無灯火で走行する14歳男子と衝突。被害者の女性は頭部外傷から脳に後遺障害2級3号の障害が残った。(名古屋地裁) |
平成17年 | 5,000万円 | 57歳女性が夜間に無灯火で携帯を片手に運転する16歳女性と衝突。被害者の女性には手足の痺れや歩行困難が残り、看護師の職を失った(横浜地裁) |
平成19年 | 3,970万円 | 15歳男子が無灯火かつ高速で歩道を走行し、対向を歩行する62歳男性と衝突。男性は転倒し、頭を強打し死亡した。(大阪地裁) |
平成20年 | 9,266万円 | 自転車横断帯に入るかなり手前から車道を斜め横断した男子高校生が、対向車線を自転車で走る24歳男性と衝突。被害者の男性には言語機能の喪失が残った。(東京地裁) |
平成25年 | 9,521万円 | 夜間に下り坂を走行中の小学5年生男子が、歩道と車道の区別のない道路で歩行中の62歳女性と正面衝突。被害者の女性は頭蓋骨骨折等により意識が戻らず寝たきり状態となった。(神戸地裁) |
損害賠償金の支払いは加害者の経済的な事情で免れられるものではありません。
破産法では加害者に明らかな過失がある場合、相手への賠償金の免責は認められないとされています。
つまり加害者は家財を失ったり自己破産したりしたとしても、一生をかけて被害者に賠償金を支払い続けなければなりません。
自転車事故は当事者だけでなく家族の人生も大きく左右するリスクがあるため、自転車保険による備えが重要です。
広がる自転車保険の義務化
自転車保険の義務化は2015年10月に兵庫県で実施されて以来、全国に広がりつつあります。
自転車保険が義務化される理由は、自転車事故の被害者と加害者の経済的・精神的負担を減らすためです。
加入が義務化されるのはあくまで個人賠償責任保険のみですが、該当する自治体では他県からの来訪者であっても自転車保険の加入が義務付けられます。
もはや「自分の住む地域では自転車保険が義務化されていないから」という考えは、自転車保険に加入しない理由にはなりません。
自転車事故による対応で後悔しないように、自転車保険には必ず加入しましょう。
自転車保険の加入によくある質問
ここで自転車保険の加入を検討している方によく挙がる疑問を紹介しましょう。
Q1.即日補償が始まる保険はありますか?
自転車保険の始期日(補償の開始日)は商品によって異なりますが、契約日の翌日から設定できるのが一般的です。
しかしインターネットで申し込める自転車保険の中には、申し込み当日から補償を始められる商品もあります。
複数の自転車保険をまとめたサイトなどで、商品ごとの始期日を見比べて検討してみるとよいでしょう。
Q2.自転車保険の加入に必要なものはありますか?
自転車保険の加入には特に準備しておかなければならない書類はありません。
口座引き落としに必要な銀行口座と印鑑があれば大丈夫です。
Q3.自転車保険の加入に年齢制限はありますか?
自転車保険にはシニア向けの商品や小さな子供から加入できる年齢制限のない商品などさまざまなタイプがあります。
自分のライフスタイルに合った自転車保険を選びましょう。
なおコンビニで取り扱う自転車保険には、70歳以上は被保険者としての加入ができない制限があります。
自転車保険の加入は簡単!まずは自分に合う保険を考えよう
自転車保険の加入には複数の方法がありますが、いずれも必要な書類を準備する必要がなく手軽にできます。
また自転車保険は月々数百円程度から始められるものもあるので、金銭的なハードルも低めです。
自転車の事故には多額の損害賠償が生じるリスクがあるので、自転車保険による備えをしておきましょう。
すでに加入している保険があれば自転車保険の補償をカバーできている可能性があります。
まずはお手元の保険証券を確認したうえで、重複のないように自転車保険を選ぶことが大切です。