「自転車の二人乗りは違反なの?」
「電動アシスト自転車に子供を乗せている場合も違反になる?」
と思ったことはありませんか?
本記事では、自転車の二人乗りは違反か否かを解説します。また、自転車を安全に乗るためのルールや自転車に乗っているときの罰則に関してもまとめました。
自転車の二人乗りは、ついやってしまいがちな違反で、数万円の罰金や懲役が科せられる恐れも充分にあり得ます。最悪の場合、悲惨な事故にもつながりかねません。
電動アシスト自転車を使って子供の送迎をしたり、通勤や買物に利用したりしている女性は、自転車事故を起こして後悔しないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
自転車の二人乗りは原則禁止
結論からお伝えすると、自転車の二人乗りは原則禁止です。下記のように、道路交通法や都道府県の条例で二人乗りの禁止が定められています。
(乗車又は積載の制限等)第五十七条 2 公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる。 引用:道路交通法 |
(軽車両の乗車又は積載の制限) 第10条 法第57条第2項の規定により、軽車両の運転者は、次に掲げる乗車人員又は積載物の重量等の制限をこえて乗車をさせ、又は積載をして運転してはならない。 引用:東京都道路交通規則 |
二人乗りをした場合の罰則は、2万円以下の罰金または科料(1万円未満の罰金)です。
第百二十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、二万円以下の罰金又は科料に処する。 (中略) 七 第五十七条(乗車又は積載の制限等)第二項又は第六十条(自動車以外の車両の牽けん引制限)の規定に基づく公安委員会の定めに違反した者 引用:道路交通法 |
もし、二人乗りをしている最中に交通事故が発生した場合は、過失として考慮されることがあります。自分の過失割合が大きくなる恐れがあるため、二人乗りは絶対に避けましょう。
過失割合とは、事故における自分と相手の過失を表した割合です。自分の過失割合が高いと、受け取れる損害賠償金が減額されかねません。
上記のとおり二人乗りは原則禁止ですが、例外もあるので次章で紹介します。
自転車の二人乗りが認められる例外
例外として、下記をすべて満たす場合は、自転車の二人乗りが認められています。
- 運転する人が16歳以上である
- 自転車に専用のチャイルドシートを装備している
- 同乗者が1歳以上6歳未満の子供である
また、運転者を含めて3人までなら同じ自転車に乗ることが可能です。三人乗りの条件は下記のとおりです。
- 「幼児2人同乗基準適合車」である
- 前と後ろにそれぞれチャイルドシートが装備されている
「幼児2人同乗基準適合車」とは、必要な強度やブレーキ性能など、一定の要件を満たすように設計された自転車を指します。
「幼児2人同乗基準適合車」には、下記の表示があるため、自転車を購入する際には、確認してみましょう。
なお、抱っこ紐を使って4人以上が同じ自転車に乗るのは禁止です。
自転車を安全に利用するための5つのルール
安全に二人乗りや三人乗りをするためには、自転車の性能だけでなく、安全な走行を心がけることが必要です。
この章では警察庁が定めた、自転車を安全に利用するための「自転車安全利用五則」を紹介します。
- 自転車は、車道が原則、歩道は例外
- 車道は左側を通行
- 歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
- 安全ルールを守る
- 子供はヘルメットを着用
それぞれのルールを順番に見ていきましょう。
ルール1.自転車は、車道が原則、歩道は例外
自転車は車道を走行することが原則とされています。道路交通法では、自転車は軽車両と定められているためです。
違反した場合、3ヶ月以下の懲役か5万円以下の罰金が科せられます。
なお、下記のケースでは、例外的に歩道の走行が可能です。
- 13歳未満の子供・70歳以上の高齢者・身体の不自由な人が自転車を運転する場合
- 歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識がある場合
- 自転車の通行の安全を確保するためやむを得ない場合
「普通自転車歩道通行可」は下記の標識です。歩道を走行したいときは、標識があるか確認しましょう。
なお、「自転車の通行の安全を確保するためやむを得ない場合」は、下記の状況が考えられます。
- 道路工事をしている
- 自動車の交通量が多い
- 車道の幅が狭い
- 複数台の車両が駐車している
上記に該当する場合は、歩行者に注意しつつ歩道を走行しましょう。歩行者が多く走行しにくい場合は、自転車を押して歩くことも必要です。
ルール2.車道は左側を通行
自転車が車道を通行するときは、左側通行です。自動車と同じ方向を走るようにします。
右側を通行した場合は、罰則として3ヶ月以下の懲役か5万円以下の罰金が科せられます。
なお、自転車は路側帯の通行が可能ですが、通行が許可されているのは左側の路側帯です。
歩行者の妨げとなる場合や、歩行者専用路側帯の場合は通行できないため、注意しましょう。
ルール3.歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
例外的に自転車が歩道を走行する場合は、歩道の車道寄りを徐行する必要があります。
歩行者の通行を妨げるときは一時停止し、基本的に歩行者が優先です。
違反時は2万円以下の罰金、または科料(1万円未満の罰金)となります。
ルール4.安全ルールを守る
守るべき安全ルールとしては、下記が定められています。
- 飲酒運転・二人乗り・並進の禁止
- 夜間はライトを点灯
- 交差点での信号遵守と一時停止
違反した場合には、それぞれ下記の罰則が科されます。
違反 | 罰則 |
飲酒運転 | 5年以下の懲役、または100万円以下の罰金 |
二人乗り | 2万円以下の罰金、または科料 |
並進(2台以上が横並びで走ること) | 2万円以下の罰金、または科料 |
無灯火 | 5万円以下の罰金 |
信号無視 | 3ヶ月以下の懲役、または5万円以下の罰金 |
子供が一人で自転車に乗れるようになると、自転車で一緒に買い物に出かけるようなこともあるでしょう。しかし二人乗りの場合、同乗者が1歳以上6歳未満でなくてはなりませんし、2代以上が横並びで走ることも禁止されています。
小学校に入学後の二人乗りや、子供が一人で自転車を運転できるようになってからの並進などには注意しましょう。
ルール5.子供はヘルメットを着用
子供が自転車を運転するときは、保護者はヘルメットを着用させるようにしましょう。
ヘルメットを着用していれば、万が一転倒しても頭部へのダメージの軽減につながります。
子供1人で自転車に乗るとき・チャイルドシートに乗せるときを問わず、ヘルメットを着用するようにしましょう。
子供を乗せた電動アシスト自転車の二人乗りは慎重に
子供を乗せた電動アシスト自転車を運転する場合は、慎重に運転する必要があります。
そもそも電動アシスト自転車の車体だけで約30kgの重量があり、運転者と子供を合わせると車体が重くなります。そのため、自転車ごと転倒した際のリスクが大きくなるからです。
子供を二人乗せて三人乗りする場合には、総重量が100kgを超えることもあります。
消費者安全調査委員会のアンケート調査では、三人乗り電動アシスト自転車の7割が「危険な思いをした経験がある」と回答しました。
電動アシスト自転車の場合は特に、事故につながりやすいため、安全に走行する意識が必要です。
まとめ
自転車の二人乗りは原則禁止ですが、下記にすべて当てはまる場合は二人乗りが可能です。
- 運転する人は16歳以上
- 自転車に専用のチャイルドシートを装着
- 同乗者は1歳以上6歳未満
なお、下記にすべて該当すれば三人乗りもできます。
- 「幼児2人同乗基準適合車」に乗車
- 前と後ろにそれぞれチャイルドシートを装備
二人乗りや三人乗りをする際は、上記の条件だけでなく「自転車安全利用五則」も守って安全な走行を心がけましょう。